【歌詞】

【制作に関するエピソード】
神戸・北野にあるライブバー「ハッピーローラ」で『歌の華束』というタイトルの自主企画イベントを毎月開催している人がいた。
別のライブハウスで共演していた友達のお客さんとして出会ったのだけど、私が繋がりのなかったハッピーローラに出演してみたくて、イベントに出させてほしいと頼んだのが、彼との最初の出会いだった。
それから何年にもわたって開催された『歌の華束』、8割は出演したってほど親しくなるとは思ってもなかったな。
彼は子供時代に交通事故で両親を失って以来、孤独を抱えて生きていた。
介護施設と送り人を生業にしていて、仕事終わりや休日はへべれけになりながら弾き語りライブ観戦をするのが彼の癒しだったように思う。
いつもカバンの中にチューハイの缶をしのばせていたし、自分が主催だというのに、ライブ前に別のお店で飲んでからやって来る……どうしようもないけど憎めない、そんな人だった。
そのイベントが途絶えたのは2020年のコロナ禍。
ライブイベントは自粛という流れにあり、数回は開催されたけど、彼が骨折・入院したこともあって、滞ってしまった。
最終的には、彼は病気を患ったようで、意味深なコメントをしてSNSアカウントを削除。
何度かメールを送るも、返事はなかった。
この『華』という歌は、まさにその彼とイベント『歌の華束』のために書いたもので、ライブでも何度も歌ったもの。
10月は彼の誕生月だから、どこかで聴いてくれたらなと音源にしようと思い立ち、制作に取りかかった。
ただ、のどの調子が悪くて10月中に完成はできなかったし、リリース日を彼の誕生日にしたかったけどそういう記録を残してなくて……日にち間違ってる(後から夫が記録を見つけてきた)のは私の甘さだけど、、、彼なら「じゃばみちゃんやから許す」って笑いながら言ってくれると思う。
【この歌に込めた思い】
この歌は、夢を追いかける人……とりわけ、もうすでに何年も夢を追いかけ続けてる人の歌だと言える。
何年もやっていると、自分より先に開花していく人を目の当たりにして挫折するようなことなんて多々ある。
私自身は、売れもしないのにもう20年も音楽を続けているけど、その中で自己内省や成長のきっかけをいくつも得て、自分自身をアップデートしてきたから何のムダでもなかったし、私には必要なことだったと思ってる。
輝かしい活躍だけが夢を追うことの意味ではない。
そんな悟りを得られたことは、私にとっては1つの開花だ。
そんな風に、この歌を聴いた人が自分なりの華を咲かせてくれたら嬉しいなと思う。
ここでもう1つ、エピソードを紹介したい。
この歌に出てくる「プリザーブドした夢が いつか埃をかぶって」という歌詞は、実家で見た埃だらけのプリザーブドフラワーから着想を得たもの。
母が一時プリザーブドフラワーでお金を儲けたいと言い出して、他県に住む教本の作者にわざわざ会いに行くほどの熱中ぶりだったのに、コスパが見合ってないと分かるや否やあっけなく埃をかぶることになったゾンビフラワーに、若干の憐れみを感じてしまったのである。
いつまでも若く、美しく、活動的でいられたらいいと人は思うものだ。
だけど、40歳も過ぎてくると明らかに身体の劣化を感じるようになり、若い頃と同じやり方では夢を追うことはできないのだと受け入れざるを得なくなる。
この歌のキーも私にとってはもう限界に近くて、仕方なく原曲から半音下げたし、ボイトレで調整しながら数十テイクを重ねてやっと録音したものだ。
正直、ベストテイクではないけど、もうこれ以上は……というところで打ち切った。
「妥協」かもしれないけど、それを許せるのは長年本気でやってきたからだし、これからも今の自分に出せる表現を楽しいまま続けていきたいからだ。
これって生身の人間ならでは、なんじゃないかなって。
もし、若さや美しさをキープすることが美徳なら、もうAIでいいやんとなる。
私は埃をかぶったプリザーブドフラワーになるくらいなら、華として枯れたいし、枯れるから華は尊いんだと思う。
若い頃に作った歌だけど、今だからこそ、そういった深みをこの歌に見出せたように思う。
ぜひ聴いてね。
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